06年度秋学期情報基礎演習第五回
PowerPointの操作とスライドの作成。しかし、ここでは次回からの発表に向けて、以下のような心得を記載します。
口頭発表の際の心得
プレゼンテーションは、多くの場合、口頭で発表するという経験をともないます。慣れた人はそう苦労なく発表することができるのですが、あまり経験のない人にとっては、人前で話すということが、まず大きな課題になることでしょう。
多くの人の前で話すには、いくつかのコツがあります。その点をクリアすることで、少なくとも「聞き苦しくない発表」のレベルまではもっていくことができます。
聞き苦しい発表とは
今までに、さまざまなプレゼンテーションを見てきましたが、これはいただけないな、と感じることも少なくありません。それは多くの場合、発表者の態度がすべてです。発表者が自信を持って、明確な主張をし、わかりやすくストーリーを提示してくれれば、実際には「そこそこ」の出来であっても、プレゼンテーション自体は良い印象になります。逆に、聞き苦しい発表はどのようなものでしょう。下にリストしておきます。
- 聴衆の方を見ずに発表する
- 声が小さくて何を言っているかよくわからない
- 自分が主張していることがよくわかっていない
- つまり自信がない
- 聞いている側がよくわからないまま話が勝手に進む
- スライドに文章が一杯書いてあり、それを読み上げるだけ
- スライドが足りない、または多すぎる
- 時間を大幅にオーバーしていても大声で発表を続ける
書いていて嫌になってきました。しかし、このような発表は結構あります。このような発表は公害といっても良いでしょう。このエントリーを読む人は、ぜひこのような発表をしないように心がけてください。
口頭発表の技術
話して伝える、ということは、多くの人が日常的に行っている作業です。そこで、口頭発表もその延長でできるのではないかという誤解が生じているようです。実は口頭発表という作業には、独特の技術が必要とされます。日ごろ「自分は機転の利かない話し下手だ」と思っている人であっても、プレゼンテーションの場で話す技術は、下のいくつかの点に注意するだけで、確実に上達します。
話しだす前に資料を見せましょう
まず、話し出す前に、資料を見せましょう。人間、何も手がかりがない状態で話し始めるのには不安があります。しかし、自分の作成した資料をまず提示し、自分で次に何を話すのかが少しでもわかっている状態であれば、少し安心することができます。まずは自分のためにも資料を見せましょう。
聞く側からすれば、どんなことを話すのかを事前に少しでも把握することができる、という利点があるので、有効な技術です。隠した情報を出すことで驚かせる、というような演出は、もっとプレゼンテーションの技術が上達してからで十分です。
相手を良く見て話す
発表を聞いてくれるために集まっている人を見ないで、用意した原稿の方ばかりを見て発表する人がいます。これは集まってくれた人に失礼です。自分が失敗しないことの方ばかりが気になって原稿に集中してしまうのでしょうが、その態度の方がより大きな失敗を呼んでいると思いましょう。聴衆はスライドではなく、発表者を見に来ているのです。ではどうしたらいいのでしょう。いくつか技術があります。
- 会場の四方に視線を配りながら発表する
- 会場は広くても狭くても、人が多くても少なくても、全体を見渡すようにしなければいけません。話すときには会場にいる人の顔を見る、というのは鉄則です。
- まずは一番左奥にいる人に視線を向けてからスタートです。次に右奥、左手前、右手前、そして左奥と、会場をゆっくり見回しながら話を続けます。しばらく話をしていると、自分に目を向けてくれている人が出てきますので、その人たちを順番に見ながら話をすると良いでしょう。ただし、特定の一人の顔をじっと見続けてはいけません。
- ちゃんと姿勢を正してきちんと立って笑顔で話す
- 緊張して縮こまっている人がいますが、できるだけポジティブに見える状態を作りましょう。難しいかもしれませんが、目を大きく開き、口角を上げて笑顔を作ってみてください。プレゼンテーターが暗い顔をしていると、聞いている側も暗くなってしまいます。できるだけポジティブな印象を与えるようにします。
- 大きな声でゆっくりと話す
- 人前で話すことに慣れていないと、早口になりがちです。しかし、話す速度が早すぎると、予定していた時間よりもプレゼンテーション自体が短くなってしまいます。これでは質疑応答の時間が増える、ということになります! 人前で話すのが苦手な人にとって、人前で質問に答えることはさらに難しいことです。ですから、きちんと予定の時間で終わるように余裕を持って話しましょう。また、だんだん小声になってしまうことも多いのですが、それでは聞いている側が何度も「もっと大きな声で」と注文をつけることになります。急かされる方がよっぽど緊張しますので、大きな声でゆっくりと、自分の言っていることはプレゼンテーションの間だけでも絶対正しいんだ、と思って発表してください。
- よく、原稿を棒読みする人がいますが、それはしないでください(ただし、どんなことを話すかのレジュメ程度なら問題ありません)。
プレゼンテーションを聞く側の態度
さて、プレゼンテーションを受ける側の態度についての資料です。
ここまではプレゼンテーションを「する側」に関してのアドバイスを掲載してきました。しかし、ここからは、プレゼンテーションを「聞く側」に関してのアドバイスです。
プレゼンテーションを行う側がいくら一生懸命に話そうとしていても、それを受ける側が拒絶しようとしたなら、プレゼンテーションという場自体が成立しません。プレゼンテーションをする側と受け手側が同じように積極的に参加することなくては、プレゼンテーションとは成功しないものなのです。
上手にプレゼンテーションを受けるための態度は以下の通りです。
意識的に積極的に聞いている姿勢を取る
まずは姿勢から決めていきましょう。聞く側の態度を大きく決定するのは姿勢です。
当然ながら、プレゼンテーションの間に寝てしまったり、周りをきょろきょろ見回したりすることは行ってはいけません。目の前のプレゼンテーションに集中しましょう。腕組みをして考え込むのも、プレゼンテーターが話しづらくなるので、避けた方が良いでしょう。
メモを取る
聞く側は必ずメモを取るべきです。むしろ、絶対にメモは取らなければいけません。プレゼンテーションの資料が配布される場合でも、その原則を守って下さい。
プレゼンテーションの主な内容はプレゼンテーターが直接口頭で話した事柄です。資料が伝えることよりも、より多くの情報は、口頭で伝えられているのです。もしもそのプレゼンテーションの内容を他の人に伝えねばならないとしたら、それはメモに頼らねばならないということに他なりません。
しかし、メモの取るということは、習慣化していないと難しい、という人もいます。確かにそういう側面もあるでしょう。そこで、ここでは簡単なメモの取り方を解説します。
メモの取り方
メモを取る場合に重要なことは、そのメモを誰が見るのかということです。単語だけが並んだメモを見せられても、それを理解できる人は少ないでしょうし、数週間、数ヶ月後の自分自身もまたそれを理解できるかどうか疑問です。従って、メモはできるだけ丁寧に書くべきではあるのですが、話を聞くよりも、書き記す方が時間がかかります。つまりその場でメモを書くことに回せる時間は限られているのです。「全てを書き留める」ことは、速記者でもない限り、物理的に不可能です。しかも、プレゼンテーションや講演を聴く場合には、「その場面を書き留める」よりも、その場で、自分がどのようなことを考えたのか、という方が大事なのはいうまでもありません。その場を記録するのであれば、ビデオテープで録画した方がよっぽど正確に記録できるでしょう。しかし、「メモを取る」ということは、自分のために役に立つ情報をその場で作り出す、ということなのです。これは、その場に参加した人にしか出来ない作業なのです。
メモを取るには、いくつかのコツがあります。
メモを取るコツ
メモを取るスキルは、時間をかけて成長させるものです。これはノートを取るというスキルも同様です(メモからノートを作る、という話題については、そのうち別項で取り上げたいと思います)。しかし、メモを取る際に気をつけるべき点はいくつかあります。
その場で書き漏らさない
プレゼンテーションや講演をメモを取る際に、絶対にやってはならないことは、大事なことを書き漏らすことです。大事なことが何か、ということは置いておいて、まずは、話についていきながらある程度のスピードでメモを取るために重要な点について触れておきましょう。
略字や記号を多用する
ただし、その場で略字を作った場合は、その旨をメモとして残すことが大事です。後で何を書いたか忘れてしまいます。
字はきれいに書こうとしなくても良い
きれいな字を書こうとするよりも、必要な情報を聞き漏らさないように神経を集中します。
メモを元にノート化する際に清書するようにしましょう。
漢字を思い出そうとする時間は無駄
漢字を思い出すよりもカタカナでさっと書いてしまいましょう。
今聞いている話を単純化する
プレゼンテーターが話している内容には、話の本筋から外れた部分や、場を和ませるためのジョークなども含まれます。
このような情報を書き留めておく必要が無いと思ったなら、ばっさりと切り捨てることも大事です。
今聞いている話を分かり易くまとめ、話の流れの要点を書き留めることがメモの目的なのです。
情報の取捨選択をおこなう
今話し手が話している内容は、書き留める必要のあることですか?
要点を書き出して箇条書きに
要点は「主語・述語」を明確にして書きましょう。単語だけでは後々誤解する元です。
箇条書きや要点を線で囲うことで図として扱うことができるようになります。つまりブロック化して扱えるようにする訳です。
図形や矢印を多用する
時間の流れ、話題の流れをブロックでまとめて矢印で繋げる
「流れ」を見つけ出すと、話が膨らませ易い
質問も考え易い
質問を考える
話の流れごとに、素朴な疑問を書き入れる
話を聞いているうちに解消されたら、解消された話題ブロックと線で繋いでおくと忘れません。
自分で思ったことは自分で思ったこととして区別しないといけない(書き込む場所やペンの色を変えると良い)。
あいまいな点を聞き直す
あいまいだなと思ったら、質問し、納得できたら、その要点を資料に必ず記載しましょう。
「?マーク」を行頭に出して箇条書きすると何が問題なのか整理できます。このような略号の応用も大事ですね。
清書する
メモは見直し、清書しなくてはいけない
メモは見直して清書することで、まとまったドキュメントとして役立てることができます。重要なことは後で使うものをノートとしてまとめることです。後で二度と見返すことのない内容をノートとしてまとめても、それは単に時間の無駄でしかありません。
メモからノートへ
自分で活用できる情報への発展
ノートの公開と共有
他のテクニック
- メモ用紙の使い方
- 自前で用意したメモ用紙の場合、案件一件につき一枚利用し、両面を使わない方が良い
- ノートではなく、メモ
- 事実と感想を分けて書く
- 自分の感想も感想ということが分かるようにして書き込む
- 自分の経験を踏まえたアナロジーを出すと理解が深まる
マインドマップ
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Freemind活用クラブ
誠 Biz.ID:マインドマップまとめ
コーネル大学式ノート作成法
講義ノートの取り方と復習のコツ - ITmedia エンタープライズ
ネットワークサービス基礎
ToDo管理
何かのプロジェクトを実行するには、様々なタスクをクリアせねばなりません。そんなに難しく考えずとも、「やらなければならないこと」をリストアップし、それらを片端から潰していく、という戦法は時間を有効に使う上で極めて重要です。
- GoogleCalendar
- Check*Pad.jp
http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20050719202.html
参考資料
「分かりやすい説明」の技術 最強のプレゼンテーション15のルール (ブルーバックス)
- 作者: 藤沢晃治
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- 作者: ルパート・イールズ=ホワイト
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課題
- 発表スライドの作成
- SNSの日記に「プレゼンテーションに対する質問と意見感想」というタイトルの日記を作成しておくこと。なおこの日記にはプレゼンテーションを聞いた人全員からの質問や意見が寄せられることになります。
- プレゼンテーションを聞き、内容をメモするためのノートを各自一冊準備すること。このノートは全員のプレゼンテーション発表が終わり次第提出することになります。また、ノートの記法については今後伝達します。